2015年5月15日金曜日

オーストリアワインが高い理由、あるいはチリワインが安い理由

オーストリアワインを売ってますからオーストリアワイン贔屓なのですが、500円以下で購入出来るチリワインが悪いとも思っていません。
価格の差は何が原因なのか、ちょこっと話してみたいと思います。

原因は幾つかありますが、一番大きいのは地形と位置です。
つまり葡萄畑のある地域の地形と国の位置です。
ワッハウ
まず、葡萄畑のある地形から説明します。

オーストリアの葡萄畑は西から延びるアルプスが終わりハンガリー大平原が始まるその境目や、ドナウ河畔の急斜面等にあります。ワッハウ(Wachau)なんて千枚田を超えるような急斜面の段々畑です。基本的に機械化は無理です。
しかもそこで有機栽培とかやってます。人手がとてもかかっています。

チリの葡萄畑は平坦な地域にあり、ほぼ機械化されています。
少ない人手でやりくりしています。

元々物価が違う(オーストリアが高い)ところに人手がかかっていますから、オーストリアのワインの生産コストはチリより遥かに高くなります。
ドナウ河
次に国の位置です。
国の位置は輸送コストに影響します。

オーストリアは内陸国です。貨物船が入港出来る海の港はありません。
定温コンテナに入れられ、ウィーンで川用の貨物船に積まれたワインはドナウ河を遡ります。幾つかの運河を超え、河を超え、最終的にドイツ北部のハンブルグで日本向の貨物船に載せ替えられます。
ハンブルグを出港した貨物船はフランス沖を経てジブラルタル海峡から地中海に入り、スエズ運河を経てインド洋、マラッカ海峡から北上、日本へと辿り着きます。
ウィーンを出てから約2ヶ月の期間が必要です。

地球の反対側のチリ、なんだか遠く感じますが。。。
日本とチリの間には太平洋しかありません。
チリの港を出港した貨物船は真っ直ぐに日本へとやってきます。
輸送にかかる正確な時間は知りませんが(チリワインを扱っていないので)、オーストリアよりは遥かに短期間で日本に届くはずです。

これはスペイン等にも共通する部分があります。
なだらかな起伏しかないスペインも葡萄栽培が機械化しやすく、輸送コストもかなり安くなります。

この辺りの事情が価格にも大きく影響するのですが、消費者としてはその事情よりも目の前に提示された価格が購入を判断する基準の全てとなります。

そう考えると、オーストリアワイン専門店を経営するKino_Sanの置かれた立場が厳しいのは仕方ないことかもしれません。

やれ、やれ、


オーストリアワインのお買い求めはKino_Sanのワイン・ショップでお願いします。

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