2015年3月23日月曜日

アルプスからの風と無農薬

オーストリアのワイン産地の地図を見たことはありますか?
この地図はオーストリアの国土の1/2位が切れてます。
東半分って感じです。

これを見ると大抵の人は、

なんか東側の端っこばかりでワインを造って、もっと全体で造ればいいのに

と思うようです。
道理ですよね。

ワインを造ってないのには、造ってない事情があって、地図上の色の付いてない部分はアルプスなのです。(葡萄が育たない)
オーストリアの国土の半分以上はヨーロッパ・アルプスが占めており、葡萄栽培はアルプス以外の狭い土地で行われているのです。

そんな狭い土地で無理して葡萄を栽培しなくても

てな感じもしますが、このアルプスの存在がオーストリアのワインのクオリティーを高めている要因の一つでもあるのです。

ワイン産地の西側のアルプス、反対の東側には夏の暑さ厳しいパノニア平原が広がっています。
パノニアからの暑い風が葡萄の成熟を助けますが、暑さは病害虫の発生も引き寄せます。
西側のアルプスからは冷たい風が吹いてきます。冷たい風は病害虫の発生を抑えます。
グンポルスキルヒィンの畑
で、オーストリアでは昔から葡萄の木の間をアルプスからの風が抜けるように工夫してきました。
写真の畑は、向こう側がアルプスです。
アルプスからの風を利用して減農薬、あるいは無農薬の農法を確立してきたのです。
アルプスが急激に消滅する最後の丘の斜面にあるグンポルスキルヒェン(Gumpoldskirchen)で病害虫に弱い品種であるロートギプフラー(Rotgipfler)ツァファンドラー(Zierfandler)の栽培が盛んなのも納得という訳です。

アルプスからの風は当然の事ながら冷涼な気候ももたらします。
オーストリアのピノ・ノワールが美味しいのも当然という訳です。




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